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淫狼の生贄 第16回 女子大院生(1)

「すみません、ここの学生さんですか?」
夏川美加子は学生用の駐車場に若草色の軽自動車を停めて、外に出たとたんに、頭の上から声を掛けられた。外は真夏のむっとする暑さである。
車に施錠してから見ると、背の高い男が困ったような様子で立っている。
女子大学だから学生のはずはないし、学生にしては年を食っていた。

「ええ、そうですけど」
男は美加子より頭二つは高い。180センチはゆうに超しているだろう。その上、日本人離れをした彫りの深い顔をしている。だが、その割には甘い優しそうな顔である。
「文学部の権藤先生の所へ行きたいんですけど、迷っちゃって・・・」
確かに、この城北学園女子大学は広い。学生数は多くはないのだが、まるで森の中に点々と建物が建っているような感じである。
まだ、恵須市がそれほど発展していないころに、私塾として出来た学校が母体になって大学に発展してきたので、小さな校舎が、まるで森のような広い敷地の中に、ある意味では無秩序に配置されている。ましてやこの学生用の駐車場は、車で通学する学生が増えてから急遽造られたため、敷地の奥のほうに押し込められている。そんな所に迷い込んでは、外部の者にはどの建物が文学部かですら分からないだろう。

「権藤先生というと・・・日本文学科の権藤教授ですか」
男はうなずいた。
「私は同じ文学部でも史学科なので、どこだったか・・・あっそうか。ええ、分かりました。私もそっちの方向なのでご案内します」
講義に使う教室は比較的分かり易いが、教授の研究室は、これまたあちらこちらに散らばっていて、場所を思い出すのに苦労する。ましてや、美加子は権藤教授には直接関係ないので、大学院生だがその研究室へ行ったこともなかった。

美加子はこの背の高い男がどういう人なのかちょっと興味はあったが、黙って森の中の道を権藤教授室まで案内した。
「私は別の建物ですのでここで・・」
ちょっと未練を残しながらも、美加子は自分の研究室へ向かった。

その翌々日、美加子が帰ろうと史学科の建物を出たとたんに、先日の背の高い男にばったり会った。
「あれ、この間の学生さんですね」
「アア、権藤先生のお客さんの・・・」
「そのときはありがとうございました。お陰で用事が済みました」
「今日は・・・?」
「やっぱり権藤先生の所へ来たのですが、ここからホテルに帰るのに困っています。一昨日は権藤先生に送ってもらったのですが、今日はこれからお客さんとかで」
「この大学不便ですものね。夏休みなので通学バスも本数が少なし。いいわ、ちっちゃな車だけど、よろしかったらお送りますよ」
「それはありがとうございます」

学生駐車場に停めてある美加子の軽自動車の助手席に、男は長身を折るように乗り込んだ。
「あっ自己紹介がまだでした」
男は名刺を差し出した。
[安本竜一]という名が読める。マックアダムス投資顧問会社のチーフ・コンサルタントという肩書きである。
裏には英語で印刷されていたが、名前はMichael Dunhillとなっている。英語のほうには、会社の住所や電話などきちんと印刷されていた。

「日本人の母とアメリカ人の父の間に生まれたんです」
「ああ、それで………」
「中学を卒業するまで、日本で母と生活していたんですが、その後事情があって、子供のないアメリカ人の家庭の養子になったんです。幸い養父母が優しかったもので、大学まで進ませてもらえてMBAの資格も取って今の会社に入ったのです」
「随分大変だったのでしょう」
お嬢さん育ちの美加子も、安本の境遇が大よそ理解できた。
「安本は母の姓、竜一は日本にいたときの名前なので、日本に居る時位は安本竜一でいたいもので」
「そうでしたの。それで日本語がお上手なのですね。私は夏川美加子、この大学の史学科の大学院生です、といっても殆ど遊んでいるようなもので。それで安本さんはお仕事で?・・・」
「ええ仕事なのです。それとは別に、アメリカの友人から権藤先生への届け物を預かったので。今日は逆に権藤先生からの預かり物を受け取りに来たのです」
「ホテルは恵須市に?」
「いえ、仕事に都合がいいように江府町に・・・・・・」

アメリカの投資顧問会社にとって、江府町にどんな仕事があるのか美加子には分からなかったが、そんな疑問はすぐ忘れてしまった。
「そうですか・・・じゃあ、JRの駅まで送ります・・・といっても各駅停車は少ないしと・・・」
恵須駅までではそれほど遠くない。美加子はもう少しこの男性とドライブしたかった。とはいっても、ドライブに誘うには車も軽自動車だし、何といっても初対面の男性をそんなに簡単に誘うわけにはゆかない。
「忙しくなかったら、ずうずうしいけど、ホテルまで送ってもらえないですか。そして、お礼と言っては何ですが、夕食でも食べていってください。ホテルのレストランは結構美味しいですよ」

簡単に別れてしまうのにはちょっと未練を感じていた美加子の心を読んだかのように、男のほうから誘ってきた。恵須市の自分の部屋に帰っても誰もいないし、婚約者の長沼も休みでなければ会うことが出来なかった。
江府町へはしばらく行っていなかったので、外国から来た人が泊るようなホテルがあったかちょっと思いつかなかったが、江府町へ入ってから安本に教えてもらえば大丈夫だろう。ここしばらくは行っていないといっても、恵須市の隣であり、距離にしても数キロであった。

安本が案内したホテルは最近出来たようである。美加子の記憶では、以前は古ぼけたビルが建っていたところである。隣はまだ三階建ての薄汚れた小さなビルが、真新しいホテルに寄りかかるように建っている。繁華街からは少し離れているため、美加子にはあまり馴染みのないところであった。
ホテルの入口の左手に駐車場へ降りるスロープがあり、それを降り切るとゲートがあった。
「ホテルのカードキーで開きます」
安本が差し出したカードキーを差し込むとゲートが開き、その先に地下駐車場が広がっていた。





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2.熟女人妻奴隷調教
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4.禁断の館第2話未亡人再調教
5.淫狼の生贄
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