淫狼の生贄 第2回 女弁護士(2)
この古びたビルの地下室には、男達が三々五々にゆったりとした椅子に座っていた。人数はそれほど多くはない。
点々とテーブルもあり、何人かは、そこに用意されている飲み物を手にしていた。
手元が何とか見えるくらいの薄暗さである。そこに、早紀が運び込まれてきた。
「お待たせしました。やっと今日の生贄が着いたようです」
それを見て部屋の片隅に立っていた男が皆に告げた。
オーというどよめきともいえる声が男達から漏れる。それと同時に数人が立ち上がった。
部屋の中央からやや奥よりに下ろされた早紀は、すかさず両手を結んでいる短い鎖を、その位置に天井から垂れ下がっている鎖の先端のフックに掛けられた。
すぐにモーターの回る音がして、両手が上に引き上げられ、やっと立っていられる程度まで吊り上げられてしまった。足も一つにまとめられて括られているので、一本の棒のようになったきりで、もう身動きも出来ない。早紀はベルトで視野を奪われている顔を僅かに動かし、気配を探ろうとた。
「一体何なの、すぐほどきなさい」
「おお、勇ましいな」
男たちの中から声が上がった。
「しばらく大人しくしていて貰いましょう」
早紀を運んできた一人がボールギャグを手にして、他の男が彼女の鼻を摘まんだ。
「うう」
顔をふって振りほどこうとしたが、直ぐに苦しくなり口を開けてしまった。すかさずそこにボールギャグが押し込まれて、頭の後ろでベルトが強く締められた。歯の内側までボールが入り込み、言葉を奪われて早紀は、うめき声きり出せなくなってしまった。
早紀を運んできた男達は、そこまですると部屋の片隅に退き、さっき立ち上がった男の背後に並んだ。
「今日の進行をつとめますお馴染みの蒔田です。もうご存知とは思いますが、生贄の料理は、私の指示に従って進めて貰います。勝手な行動はどうか謹んで下さい」
「了解」
「そんなことは分かってる、早く始めてくれ」
蒔田の頼みに会場からは声が掛かる。
「今日の生贄は予定とは違ってしまいましたが、プロフィールの準備は出来てますので、それをご披露しましょう。丸茂早紀29歳、職業は弁護士です。大学に在学中に司法試験に合格したという才媛で、2年ほどイソ弁をして、数年前に恵須市で独立したので、今日おいでのお客さんもご存知の方がいらっしゃるかも知れません」
そこまで聞いて、ホーという声が男達の間からいくつか漏れた。薄暗い上、目隠しのベルトで、今まで早紀の人相が分からなかったのであろう。
「現在は独身ですが、残念ながら結婚経験がありますな。最初につとめた法律事務所の同僚が相手でした。どうして別れたかは分かりませんが、司法試験浪人という奴で、結局男が頼りなく見えたか、馬鹿に見えたのでしょう。元人妻・・・バツイチ大好きのお客さんもいらっしゃいますよね。
さて、その才媛の弁護士先生が、なぜか今日の生贄です。なぜかは、お客さんは気にしないで、いつものようにたっぷり楽しんでいただければいいでしょう。ルールもいつも通りで・・・といっても弁護士先生のほうはご存じないが、おいおい分かるでしょう。では開始します。
先ず、この目隠しをとって、生贄の理知的な美貌を見ていただき、先生にもここの様子を見て貰いましょう。並木、目隠しを外せ」
司会をしていた男の背後に控えていた、先刻早紀を運んできた男の一人が早紀の目を塞いでいたベルトを外した。
薄暗い場所だが、ずっと暗さに慣らされていた早紀には、そこの異様な様子が分かった。
早紀を半円形に取り囲むように、6人の男が立ったり座ったりしている。その全員がぎらぎらした目を早紀に向けている。
だが、分かるのは目だけで、男達は全員頭からすっぽりと黒いマスクを被っている。露出しているのは目と口の部分だけで、その他は首の部分まで覆われている。髭でも生やしていれば別だが、これでは全く顔の特徴が分からない。頭も毛が黒いのか、白髪なのか、あるいははげているのかすら分からない。
さらに首から下は、足首まで黒いマントを纏っている。
まさに真っ黒なてるてる坊主である。
一方司会をしている男と他の三人の男は、ごく普通のカジュアルシャツにズボンであるが、中にはジーパンのものも居る。こちらは、レモンローンにつながる組織の人間なので、顔を曝していても差し支えないのだろう。

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点々とテーブルもあり、何人かは、そこに用意されている飲み物を手にしていた。
手元が何とか見えるくらいの薄暗さである。そこに、早紀が運び込まれてきた。
「お待たせしました。やっと今日の生贄が着いたようです」
それを見て部屋の片隅に立っていた男が皆に告げた。
オーというどよめきともいえる声が男達から漏れる。それと同時に数人が立ち上がった。
部屋の中央からやや奥よりに下ろされた早紀は、すかさず両手を結んでいる短い鎖を、その位置に天井から垂れ下がっている鎖の先端のフックに掛けられた。
すぐにモーターの回る音がして、両手が上に引き上げられ、やっと立っていられる程度まで吊り上げられてしまった。足も一つにまとめられて括られているので、一本の棒のようになったきりで、もう身動きも出来ない。早紀はベルトで視野を奪われている顔を僅かに動かし、気配を探ろうとた。
「一体何なの、すぐほどきなさい」
「おお、勇ましいな」
男たちの中から声が上がった。
「しばらく大人しくしていて貰いましょう」
早紀を運んできた一人がボールギャグを手にして、他の男が彼女の鼻を摘まんだ。
「うう」
顔をふって振りほどこうとしたが、直ぐに苦しくなり口を開けてしまった。すかさずそこにボールギャグが押し込まれて、頭の後ろでベルトが強く締められた。歯の内側までボールが入り込み、言葉を奪われて早紀は、うめき声きり出せなくなってしまった。
早紀を運んできた男達は、そこまですると部屋の片隅に退き、さっき立ち上がった男の背後に並んだ。
「今日の進行をつとめますお馴染みの蒔田です。もうご存知とは思いますが、生贄の料理は、私の指示に従って進めて貰います。勝手な行動はどうか謹んで下さい」
「了解」
「そんなことは分かってる、早く始めてくれ」
蒔田の頼みに会場からは声が掛かる。
「今日の生贄は予定とは違ってしまいましたが、プロフィールの準備は出来てますので、それをご披露しましょう。丸茂早紀29歳、職業は弁護士です。大学に在学中に司法試験に合格したという才媛で、2年ほどイソ弁をして、数年前に恵須市で独立したので、今日おいでのお客さんもご存知の方がいらっしゃるかも知れません」
そこまで聞いて、ホーという声が男達の間からいくつか漏れた。薄暗い上、目隠しのベルトで、今まで早紀の人相が分からなかったのであろう。
「現在は独身ですが、残念ながら結婚経験がありますな。最初につとめた法律事務所の同僚が相手でした。どうして別れたかは分かりませんが、司法試験浪人という奴で、結局男が頼りなく見えたか、馬鹿に見えたのでしょう。元人妻・・・バツイチ大好きのお客さんもいらっしゃいますよね。
さて、その才媛の弁護士先生が、なぜか今日の生贄です。なぜかは、お客さんは気にしないで、いつものようにたっぷり楽しんでいただければいいでしょう。ルールもいつも通りで・・・といっても弁護士先生のほうはご存じないが、おいおい分かるでしょう。では開始します。
先ず、この目隠しをとって、生贄の理知的な美貌を見ていただき、先生にもここの様子を見て貰いましょう。並木、目隠しを外せ」
司会をしていた男の背後に控えていた、先刻早紀を運んできた男の一人が早紀の目を塞いでいたベルトを外した。
薄暗い場所だが、ずっと暗さに慣らされていた早紀には、そこの異様な様子が分かった。
早紀を半円形に取り囲むように、6人の男が立ったり座ったりしている。その全員がぎらぎらした目を早紀に向けている。
だが、分かるのは目だけで、男達は全員頭からすっぽりと黒いマスクを被っている。露出しているのは目と口の部分だけで、その他は首の部分まで覆われている。髭でも生やしていれば別だが、これでは全く顔の特徴が分からない。頭も毛が黒いのか、白髪なのか、あるいははげているのかすら分からない。
さらに首から下は、足首まで黒いマントを纏っている。
まさに真っ黒なてるてる坊主である。
一方司会をしている男と他の三人の男は、ごく普通のカジュアルシャツにズボンであるが、中にはジーパンのものも居る。こちらは、レモンローンにつながる組織の人間なので、顔を曝していても差し支えないのだろう。

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