縄に堕ちて第1回:プロローグ
暗い廊下に白い肌が浮き上がっている。そこだけが明るく、はっきり見える。
女だとすぐ分かった。
妙子はじっと目を凝らして見ていた。白い裸体を縄で縛られて、暗い廊下を、俯いて歩いている。
いつの間にか、その女が妙子になっていた。腰に白い褌を締めただけの裸だった。
恥ずかしいと思うと足が滞る。すると後ろの闇から鞭が飛んできて、剥き出しの尻を打ち据える。鋭い音がしたようだが聞こえなかった。だがその痛みが身に染み、また暗い闇に向かって、よろめきながら歩き出した。
<可哀そうな私>
後手に麻縄でがっしりと縛られて、鞭に追い立てられながら、どこへ続くのか分からない、暗い長い廊下を妙子は歩き続けた。
いくら歩いても廊下は途切れなかった。鞭に追われて、左右にふらつきながら歩き続ける。
ふと気付くと、明るい和室で鴨居から吊るされていた。宙吊りではなく、足は床に着いている。だが後手縛りの身を吊られているので、躰は前屈みになっていた。
前には何人かの男が居る。何人居るのか分からないが、何となくざわめいている。
「脚を開かせろ」
誰かの声がした。その声で二人の男が妙子の足首に縄を巻きつけて、左右に引っ張った。簡単に脚が開いてしまう。力を入れて逆らおうとしても、全く力が入らなかった。
「埋蔵金はどこにあるんだ」
「そんなもの、知りません」
「じゃぁ体に訊くよりしょうがないな。やれ」
妙子の後ろから鞭が襲ってきた。鞭が当たるたびにビクンと躰が跳ねる。だが知らないものは答えようがない。
その責めがどのくらい続いたのか分からない。いつの間にか褌が外されて、妙子は全くの裸にされてしまっていた。その上後手に縛られた縄は解かれ、両腕を万歳の形に鴨居に結ばれていた。まさにX字に磔られている。
妙子の裸体に何人もの男が取り付いていた。
胸の尖りを舐める者、背中をそっと撫で上げる者、唇を寄せてくる者、さらに股間に指を這わせる者と様々に嬲り始めた。
「ああ~~~~ん」
官能の歓喜に妙子は声を上げていた。
ぞくぞくとした快感が躯の奥底から湧き上がってくる。
すでに秘壺の奥から、とめどなく愉悦の液が溢れ出ていた。
「気持ちいい、ああ~~」
思わず大きな声を上げていた。
妙子はハッと目覚めた。夢、何時も見るような夢だった。その夢の中の声を現実に出して、その声で目が覚めたようだ。
かなり前から、夫とは寝室を別にしていたので、その声は聞こえなかったようだ。
しかし、それよりも自分の右手がパジャマの下に潜り込み、自分自身を愛撫していたらしい。ショーツは濡れてしまっていた。
こんな夢は、これが初めてではなかった。その頃には何故だか分からなかった。
結婚してから夫と躰を交わしても、快感は無かった。それはまだ躯が開発されていないためだろうと思っていたが、それにしても長い時間が経った。夫も全く反応を示さない妻との交わりが段々詰まらなくなったのか、いつの間にか間遠になり、今は寝室も別にしてしまっていた。
そんなある日、ネットをさまよっている内に、SMという言葉と出会った。過激な動画などもネットで見ることが出来るが、そう言うものを直接見ても、妙子はそれ程興奮しなかった。
しかし、ある時見つけた女性が書いている官能小説に魅かれて、読みふけるようになった。そこで、どうやら自分にM、つまりマゾ傾向があるのではないかと思い至った。その想いが満たされないため、時々SM的な夢を見るのかもしてない。そう思うと、幾分気持ちが軽くはなったが、それを満たしてくれる者は、妙子の周辺には居なかった。
ネット上には、パートナー募集などという掲示板もあるが、恐ろしくてそんな所にはアクセス出来なかった。
読んでいる官能小説のコメント欄で知り合った男性と、いつの間にか個人的にメールを交換するようになり、SMというものが、決して変態的なものでないことが分かった。
彼はサディスティックな性癖を持っていると告白していたが、実に温和な感じのメールだった。
何度もメールで話をするうちに、1年以上が経っていた。
そんな時期に、夫が海外のプロジェクトで、年単位の長期出張に行くことになり、妙子は一人で日本に残された。

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女だとすぐ分かった。
妙子はじっと目を凝らして見ていた。白い裸体を縄で縛られて、暗い廊下を、俯いて歩いている。
いつの間にか、その女が妙子になっていた。腰に白い褌を締めただけの裸だった。
恥ずかしいと思うと足が滞る。すると後ろの闇から鞭が飛んできて、剥き出しの尻を打ち据える。鋭い音がしたようだが聞こえなかった。だがその痛みが身に染み、また暗い闇に向かって、よろめきながら歩き出した。
<可哀そうな私>
後手に麻縄でがっしりと縛られて、鞭に追い立てられながら、どこへ続くのか分からない、暗い長い廊下を妙子は歩き続けた。
いくら歩いても廊下は途切れなかった。鞭に追われて、左右にふらつきながら歩き続ける。
ふと気付くと、明るい和室で鴨居から吊るされていた。宙吊りではなく、足は床に着いている。だが後手縛りの身を吊られているので、躰は前屈みになっていた。
前には何人かの男が居る。何人居るのか分からないが、何となくざわめいている。
「脚を開かせろ」
誰かの声がした。その声で二人の男が妙子の足首に縄を巻きつけて、左右に引っ張った。簡単に脚が開いてしまう。力を入れて逆らおうとしても、全く力が入らなかった。
「埋蔵金はどこにあるんだ」
「そんなもの、知りません」
「じゃぁ体に訊くよりしょうがないな。やれ」
妙子の後ろから鞭が襲ってきた。鞭が当たるたびにビクンと躰が跳ねる。だが知らないものは答えようがない。
その責めがどのくらい続いたのか分からない。いつの間にか褌が外されて、妙子は全くの裸にされてしまっていた。その上後手に縛られた縄は解かれ、両腕を万歳の形に鴨居に結ばれていた。まさにX字に磔られている。
妙子の裸体に何人もの男が取り付いていた。
胸の尖りを舐める者、背中をそっと撫で上げる者、唇を寄せてくる者、さらに股間に指を這わせる者と様々に嬲り始めた。
「ああ~~~~ん」
官能の歓喜に妙子は声を上げていた。
ぞくぞくとした快感が躯の奥底から湧き上がってくる。
すでに秘壺の奥から、とめどなく愉悦の液が溢れ出ていた。
「気持ちいい、ああ~~」
思わず大きな声を上げていた。
妙子はハッと目覚めた。夢、何時も見るような夢だった。その夢の中の声を現実に出して、その声で目が覚めたようだ。
かなり前から、夫とは寝室を別にしていたので、その声は聞こえなかったようだ。
しかし、それよりも自分の右手がパジャマの下に潜り込み、自分自身を愛撫していたらしい。ショーツは濡れてしまっていた。
こんな夢は、これが初めてではなかった。その頃には何故だか分からなかった。
結婚してから夫と躰を交わしても、快感は無かった。それはまだ躯が開発されていないためだろうと思っていたが、それにしても長い時間が経った。夫も全く反応を示さない妻との交わりが段々詰まらなくなったのか、いつの間にか間遠になり、今は寝室も別にしてしまっていた。
そんなある日、ネットをさまよっている内に、SMという言葉と出会った。過激な動画などもネットで見ることが出来るが、そう言うものを直接見ても、妙子はそれ程興奮しなかった。
しかし、ある時見つけた女性が書いている官能小説に魅かれて、読みふけるようになった。そこで、どうやら自分にM、つまりマゾ傾向があるのではないかと思い至った。その想いが満たされないため、時々SM的な夢を見るのかもしてない。そう思うと、幾分気持ちが軽くはなったが、それを満たしてくれる者は、妙子の周辺には居なかった。
ネット上には、パートナー募集などという掲示板もあるが、恐ろしくてそんな所にはアクセス出来なかった。
読んでいる官能小説のコメント欄で知り合った男性と、いつの間にか個人的にメールを交換するようになり、SMというものが、決して変態的なものでないことが分かった。
彼はサディスティックな性癖を持っていると告白していたが、実に温和な感じのメールだった。
何度もメールで話をするうちに、1年以上が経っていた。
そんな時期に、夫が海外のプロジェクトで、年単位の長期出張に行くことになり、妙子は一人で日本に残された。

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