淫狼の生贄 第78回 インターミッション
1年先の百瀬の屋敷に話が飛ぶことにしたが、その間に色々なことがどうなったかを簡単に報告しておこう。つまらない回だがご容赦願いたい。
南條鉱業の三人の株は、全て西片総業と西片個人が買い取った。その資金は恵須中央銀行が融資したのはもちろんであるが、西片個人の資産もかなり処分されたようである。
ただ、西片の誤算だったことは、鉱山が南條鉱業の所有でなく、社長の南條昇一の個人資産だったことで、それを買い取るために、役にも立たない周辺の雑木林の山まで含めて、とてつもない金額が、株の買い取り以外に必要だったことだ。
株の実質的な価格は安本が決定したため、株主だった三人の女性は、額面の数十倍で株を売ることが出来、数億という金額を手に入れた。
静香は百瀬の紹介で、恵須市の外郭団体の役員に就任した。
怜子は西片が種々の事態で忙しくなっている間に、杉森との逢瀬を重ねて、完全にパートナーとなった。そして、杉森の援助で、ささやかだが高級な骨董店とそれに併せて茶道教室を開いた。杉森とは古くから付き合いの深かった百瀬の紹介で、恵須市の財界人とその夫人達がよいお得意さんになってくれていた。
静香の夫は行方不明のままだったが、翌年の大雨で起きた崖崩れの時に、恵須市の奥にある山の中から白骨死体で見つかった。警察は鋭意捜査中とのコメントを出してはいるが、解決するつもりはないらしい。
美加子は大学院を修了して、そのまま大学に助教として採用された。それもこれも、恵寿市の有力者の力が大きく働いたが。
良いことは長くは続かない。西片総業が南條鉱業を傘下に収めた直後、大国がレアメタルの開発を進めたために、そうでなくても割高で細々とした生産だった南條鉱業のレアメタルは全く需要がなくなり、業績は一気に倒産寸前にまで落ち込んでしまった。
恵須中央銀行は倒産前に貸し金を回収しようと西片総業の資産を差押さえたが、それだけでは追いつかず、大きな貸倒金が発生しそうになっていた。
恵須中央銀行は恵須県では最大の銀行とはいっても、衰退が続く地方銀行である。中央官庁より天下りを迎えて、政府資金の注入などを狙い財務省の課長クラスのエリートだった諸石を迎え入れたが、財務省の方は厄介払いが出来たくらいにしか考えていなかったようで、銀行側が目論むようなお土産をなかなか持ってこられずに居た。
そこに降って湧いたのが、アメリカの投資顧問会社が中に入っての南條鉱業乗っ取り案件であった。うまくゆけば、世界的な企業と手を組み、大きな仕事への持ってゆけるかもしれないと諸石は目論んでいた。
銀行内での決済もあいまいな内に行われてしまった巨額融資が焦げ付き、その責任を全て取らされて、その上背任罪までが追いかけてきた。
結局手柄をあせった諸石特別顧問は、石をもて追われるように、銀行を追い出されたしまった。
そこのところで、安本は南條鉱業、西片総業を倒産させず、恵須中央銀行から債権を買い取った。もちろん、倒産させた場合に分配金として銀行が得られる金額に少し上乗せした程度ではあるが。
西片総業の裏の仕事は、百瀬の睦会が引き継いだと言えば聞こえがいいが、弱みにつけ込んで乗っ取った。ただ、睦会は指定暴力団なので表だって動けない。そこで安永がアメリカのポルノ産業に全ての運営は任せた。どんなことをしても、相手はアメリカの法人である。表向きは睦会とは縁が無いことになった。
南條鉱業の品位の低い鉱石からレアメタルを精錬する技術を目に付けた海外の企業もあり、この技術を磨き上げて、そういう企業に高く売り払おうというのが、安本とその顧問会社の目論見である。
果たしたうまくゆくか・・・まだ、その辺は途上ではあるが。

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南條鉱業の三人の株は、全て西片総業と西片個人が買い取った。その資金は恵須中央銀行が融資したのはもちろんであるが、西片個人の資産もかなり処分されたようである。
ただ、西片の誤算だったことは、鉱山が南條鉱業の所有でなく、社長の南條昇一の個人資産だったことで、それを買い取るために、役にも立たない周辺の雑木林の山まで含めて、とてつもない金額が、株の買い取り以外に必要だったことだ。
株の実質的な価格は安本が決定したため、株主だった三人の女性は、額面の数十倍で株を売ることが出来、数億という金額を手に入れた。
静香は百瀬の紹介で、恵須市の外郭団体の役員に就任した。
怜子は西片が種々の事態で忙しくなっている間に、杉森との逢瀬を重ねて、完全にパートナーとなった。そして、杉森の援助で、ささやかだが高級な骨董店とそれに併せて茶道教室を開いた。杉森とは古くから付き合いの深かった百瀬の紹介で、恵須市の財界人とその夫人達がよいお得意さんになってくれていた。
静香の夫は行方不明のままだったが、翌年の大雨で起きた崖崩れの時に、恵須市の奥にある山の中から白骨死体で見つかった。警察は鋭意捜査中とのコメントを出してはいるが、解決するつもりはないらしい。
美加子は大学院を修了して、そのまま大学に助教として採用された。それもこれも、恵寿市の有力者の力が大きく働いたが。
良いことは長くは続かない。西片総業が南條鉱業を傘下に収めた直後、大国がレアメタルの開発を進めたために、そうでなくても割高で細々とした生産だった南條鉱業のレアメタルは全く需要がなくなり、業績は一気に倒産寸前にまで落ち込んでしまった。
恵須中央銀行は倒産前に貸し金を回収しようと西片総業の資産を差押さえたが、それだけでは追いつかず、大きな貸倒金が発生しそうになっていた。
恵須中央銀行は恵須県では最大の銀行とはいっても、衰退が続く地方銀行である。中央官庁より天下りを迎えて、政府資金の注入などを狙い財務省の課長クラスのエリートだった諸石を迎え入れたが、財務省の方は厄介払いが出来たくらいにしか考えていなかったようで、銀行側が目論むようなお土産をなかなか持ってこられずに居た。
そこに降って湧いたのが、アメリカの投資顧問会社が中に入っての南條鉱業乗っ取り案件であった。うまくゆけば、世界的な企業と手を組み、大きな仕事への持ってゆけるかもしれないと諸石は目論んでいた。
銀行内での決済もあいまいな内に行われてしまった巨額融資が焦げ付き、その責任を全て取らされて、その上背任罪までが追いかけてきた。
結局手柄をあせった諸石特別顧問は、石をもて追われるように、銀行を追い出されたしまった。
そこのところで、安本は南條鉱業、西片総業を倒産させず、恵須中央銀行から債権を買い取った。もちろん、倒産させた場合に分配金として銀行が得られる金額に少し上乗せした程度ではあるが。
西片総業の裏の仕事は、百瀬の睦会が引き継いだと言えば聞こえがいいが、弱みにつけ込んで乗っ取った。ただ、睦会は指定暴力団なので表だって動けない。そこで安永がアメリカのポルノ産業に全ての運営は任せた。どんなことをしても、相手はアメリカの法人である。表向きは睦会とは縁が無いことになった。
南條鉱業の品位の低い鉱石からレアメタルを精錬する技術を目に付けた海外の企業もあり、この技術を磨き上げて、そういう企業に高く売り払おうというのが、安本とその顧問会社の目論見である。
果たしたうまくゆくか・・・まだ、その辺は途上ではあるが。

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